“両利き”にみる変化に適応できる組織とは|idearium cast#8

ideariumのポッドキャスト(音声メディア)の第8弾をリリースしました。今回は今期1ヶ月経過した振り返りもかねて、社会変容が起きている中「どのような組織が変化に適応できるのか」について話しました。下記にはなした内容を紹介させていただきます。

横断経営開始1ヶ月目の振返りについて

準備万端で始まった横断経営ですが、コロナの影響により開始数週間でリモートワークに移行する事となりました。そのなかでパートナーの安斎と決定した方針は下記でした。

(A). 対話を大切とし、共通認識を持って支えあえる組織であること。
主語が”個”になりやすい社会背景のなか、意図的に主語を”他者/組織/家族/社会”に問い直すと相手の理解でき、対話して支えあうことができます。そして何より経営である自分達が、主語を”経営”から問いなおすことが「支えあい」の起点になると考えました。以降、社内でもideariumでも自分達の考えを積極的に発信することを心がけました。

(B). 社会が抱えるwicked problem(厄介な問題)に対し、解決の担い手であること。
リモートワークは働き方を問いなおす良いきっかけであるものの、準備なく移行が進めば”組織と個人”の繋がりが途切れていきます。多くの組織がこの問題にぶつかるなかで、新しい”組織の在り方”をWhyから見つめなおす担い手であろうと話しました。このなかの一つのHowが先日リリースした”オンライン・ファシリテーション研修”です。現在多くのお問い合わせをいただいていており、ミッションを着実に進めています。

(C). 社会変容時期だからこそ、変わらずに在りつづけること。
社会環境に飲まれて”自分達の在り方”を否定するのではなく「遊び場」「創造性の土壌を耕す」というビジョンを大切に「文化」を守ろうと話しました。また自分達自身も慌てることなく、いつも通り「遊び心と学び」を大切にして日々楽しんでいこうと話しました。

(D). 戦略的リスクマネジメントは限界まで行い、A-Cの土台とすること。
勿論これらを守る前提には、あらゆる情報を集めて未来予測し”進むべき道”を意思決定する必要があります。安易なコスト削減は好ましくなく、むしろ追加投資することで”何が起きても大丈夫”なようリスクマネジメントすることが大切です。マーケティング活動/サービス開発などの利益創出活動もあれば、内部における組織環境の整備もふくまれています。※この辺りのHowは別記事で記載します。

ややのんびりした経営方針なのですが、こうした判断ができるのはこれまでのメンバーの頑張りによる利益やキャッシュ余力はもちろん、何よりも組織全体に”見えない資産”が多くあったことが大きいと考えています。この”見えない資産”はミミ&グリが”両利きの状態”を大切にする組織だからこそ、産まれていたものと考えています。

ミミ&グリの考える”両利きの状態”とは

“両利きの状態”とは近年経営学で話題になることも多いものです。議論の中で様々な解釈が存在するのですが、概要をまとめれば「利益を産む”深化の活動”」と「資産を産む”探索の活動”」の両方を大切にすることで、外部環境にさらされても”強い生存能力”が働く組織でいられるというものです。ミミ&グリはこの”両利き”であることを、大切な在り方として考えています。※先日FastGrowで「両利きの状態」を主題とした連載を始めました。詳細はこちらにて解説しています。

探索の活動”により産まれる”見えない資産”。

例えばミミ&グリは研究者が在籍する中で、日常的に探索した「理論知」を事業で「実践知」に昇華させてきています。そうした過去の研究成果の中には”オンラインファシリテーション”の論文も存在しており、それを実践知に昇華させたメンバー達がいたことが今回のプレスリリースに繋がっていました。そして多くの顧客の支援をすでに開始しはじめています。

また前述の通りリモートワークへの準備なき移行は”組織に対する遠心力”が働くために対話が成り立たなくなり、組織崩壊することもありえます。その中で顧客の事業/組織変革をしてきた多くの知識資産を活かし、仕組/対話の”組織づくり”を大切に推進してきました。こうした日々の探索の積み重ねがあったことでリモートワークも比較的スムーズに移行でき、適切に対策しながらも、基本的には皆が遊び心を大切にしながら日常を過ごしています。

これはミミ&グリが「利益を産む”深化の活動”」は当然にしながらも、その先の「資産を産む”探索活動”」を大切にする文化があり、「学びと遊び」を日々続けてたことで、多くの資産が産まれていたのだと思います。

“探索の活動”に力をいれることが、変化に強い組織をつくりあげる。

ともすればこうした「探索の活動」は無駄と思われがちですし、目の前の効率化だけすれば”利益もさらに上げることが可能”です。しかし易きに流れず自分達のあり方である”両利き”を守ることで、利益と同時に「見えない資産」を積みあげられます。

環境変化してから新たな施策をうつのでなく、平常時から”長期目線”での取り組みが”両利き”を目指す上では大切です。そして前述の通り”知の探索”を止めることは、未来の生命線も止めることとなるので、変わらない投資を続ける必要があります。“深化の活動”は当然ながら、”探索の活動”に力をいれることが、変容する社会での最大のリスクマネジメントとなりえます。

またその為には自分達の”アイデンティティを問い直しつづける”ために、リモートワークでも組織開発の活動を止めず、アップデートをし続けることが大切です。

ゆるゆると横断経営の本領を発揮するはずが、まさか開始1ヶ月目から真価が試されると思わなかったというのが本音です 苦笑。しかしこの1ヶ月は私達が信じてきたものは「とても良いものだったんだなぁ」と感じられる期間でした。勿論油断できない社会状況、そして心身リスクがある状況ですが、皆で遊び心を忘れないようにしながら、両利きを保ち続けたい思います(リモートワークでね!)。

実際にどんなふうに振り返ったかは音声で!

…と内容を簡単にまとめましたが、ポッドキャストでは、もう少しこの内容をざっくばらんに話しています。…というか自分の発話内容を振り返ったところ、お気楽すぎて内部で聞いたみんなが心配にならないか不安なところではありますが、遊び心を忘れていないということで多めに見ていただけたら嬉しいです。
みなさん、どんな時も「学びと遊び」を大切にしながら健やかに生きていきましょうね!

ブラウザでそのまま聴くこともできますが、Anchorのideariumのページにアクセスし、アプリをダウンロードしていただくと、スマホやパソコンで「ながら作業」をしながら再生可能です!またSpotifyでも聴けます。


ミミクリ &ドングリはデザインの力で創造性の土壌を耕し、組織の課題解決を実践するデザインファームです。40名の研究者、ファシリテーター、コンサルタント、デザイナーが在籍しながら、具体的な技術から思想や哲学まで含めた広い意味での方法論 (methodology) を学術的に研究しています。

学術研究を裏づけにしながら、組織をよりよくするお手伝いをさせて頂いた実例資料を無料配布しております。下記よりぜひご確認ください。

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