オンライン化でマネジメント層が忙殺される理由|idearium cast #4

ideariumのポッドキャスト(音声メディア)の第4弾をリリースしました。今回も先週に引き続き、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、リモートワーク・テレワークが前提となる「オンライン中心の組織」における組織マネジメントの課題と対策について議論しています。

前回のidearium cast #3でも触れましたが、多くのコミュニケーションがオンラインに移行する中で、従来のマネジメントのスタンスや方法をそのまま継続してしまうと、マネジメントが邪推的・性悪説的になってしまう懸念があること。リモートワークは組織の「遠心力」を強化し、主語を”個人化”させる圧力が働くため、一人ひとりの目線を「チームレベル」「組織レベル」まで引き上げて、オンラインならではの方法で組織開発を行なっていく必要性について提案しました。

ミミクリデザインでも、失われがちな雑談や対話的なコミュニケーションを意図的に増やし、オンライン組織開発の方法を繰り返し実験しています。

オンライン化でマネジメント層は忙殺されている?

ところが、オンラインに最適化した組織マネジメントに積極的に切り替える過程で、過渡期だからということもありますが、如実に「忙しくなった」感覚がありました。安斎個人にとっても「久しぶりにキャパオーバーした」感覚があり、今回のポッドキャストの冒頭ではそんな安斎の「なんでこんなに忙しくなったのか」という愚痴からスタートしています(笑)。

大きな理由は一言で言えば「コミュニケーション量が爆発的に増えたこと」なのですが、その要因はいくつかあります。

(要因1)外部環境変化に対応する意思決定のためのコミュニケーションの増加

第一に、外部環境(感染拡大状況、大手クライアントの経営状況、市場ニーズ)の目まぐるしい変化に対応するために、絶えず情報を収集しながら、経営層で迅速にコミュニケーションを行い、意思決定すべき項目が増えたこと。逆にいえば、ミミクリデザインがオンラインファシリテーション研修の開発に早期からリソース投資し、3月中にプレスリリースを打つことができたのも、外部環境に合わせて社内で先手のコミュニケーションを取れていたからだと思っています。(すでに二の手三の手を仕込んでいます)

(要因2)ミクロな認識齟齬によるフォローコミュニケーションの増加

第二に、オンラインコミュニケーションが中心になったことによって、対面では伝えられていた曖昧なニュアンスが伝わりにくくなり、認識の齟齬が生まれやすくなったことで、補足的なコミュニケーションが以前よりも増えたり、ミクロな齟齬が伝言ゲーム的なコミュニケーションエラーにつながって、マネジメントがフォローしなければいけないことが増えたこと。オンラインによって会議が効率化された部分もありますが、実際には、1on1やオンライン会議にかかる時間はトータルでは微増しているように思います。

(要因3)一人ひとりが見えない状況において心身の健康をケアするためのコミュニケーションの増加

第三に、社会や労働環境の変化によって、一人ひとりが心身ともに健康を崩しやすい不安定な状況になっていることが挙げられます。現在はまだ「リモートワーク、非日常で楽しい」というポジティブな空気が優位で、ミミ&グリ的にはそれを継続していきたいと考えていますが、普段とは違う環境で仕事をすることで「腰が痛い」と漏らすメンバーは前よりも増えています。また太陽に当たる時間が減り、運動量も減ったことで、今後、睡眠やモチベーション、体調面にも影響が出てくるかもしれません。マネジメントとしてはそうした環境を整備しながらもリスクに対処すべく、これまで以上にメンバー一人ひとりの状況に目を向け、気を配らなければいけません。ところが、みんなのことがこれまでよりも「見えない」ので、これまで以上にコミュニケーションを増やして、マネージャーが情報を取得しにいかなければならなくなりました。(もちろんマネジメントスタンスとしてそうしたケアは一切せずに「この状況で自律的についてこれない奴は見捨てる」という考え方もあるかもしれませんが、ideariumではそれを推奨していません)

などなど、他にも細かい要因はありますが、こうした要因が絡み合って、ただでさえ生産性を最大限高める工夫によって綱渡りを乗り切っていたマネジメント層に、必要なコミュニケーション量がさらに上乗せされ、忙殺されるのではないか。それが私たちの仮説であり、実際に忙殺された安斎の自己分析です(笑)。

どのように対応していく?(続きは音声で…笑)

今回のポッドキャストでは、それに対するいくつかの解決策の方向性(情報オープン化、Slackチャンネルの整理など)についても話し合っています。

シリアスな雰囲気にせず、あえて毎回楽しみながら収録しているので、「ミナベのテンションが高すぎる」などいろいろなフィードバックをいただいていますが、それも含めてお楽しみください!30分弱の音声コンテンツです。ブラウザでそのまま聴くこともできますが、Anchorのideariumのページにアクセスし、アプリをダウンロードしていただくと、スマホやパソコンで「ながら作業」をしながら再生可能です!またSpotifyでも聴けます。


ミミクリ &ドングリはデザインの力で創造性の土壌を耕し、組織の課題解決を実践するデザインファームです。40名の研究者、ファシリテーター、コンサルタント、デザイナーが在籍しながら、具体的な技術から思想や哲学まで含めた広い意味での方法論 (methodology) を学術的に研究しています。

学術研究を裏づけにしながら、組織をよりよくするお手伝いをさせて頂いた実例資料を無料配布しております。下記よりぜひご確認ください。

Contact

イノベーションコンサルティングの
ご相談はこちら

組織と事業の変革を実現するためには、当事者一人ひとりの衝動に蓋をせず、対話的な関係性をファシリテートすること。そして変革の土台となる組織の構造と仕組みをデザインすること。この両輪を回すことが重要です。まずはお気軽にご相談ください。組織をよりよくしたい衝動がある方からのご相談を心待ちにしております。

ワークショップの基本から活用する意義、プログラムデザインやファシリテーションのテクニック、企業や地域の課題解決に導入するためのポイントや注意点について、最新の活用事例と研究知見に基づいて解説します。

※ダウンロードいただいた方には、 最新情報をメールでお届けします。