OKRマネジメントを機能させる本当に大切な18のコツ〜組織デザイン概論vol.3

リモートワークに多くの企業が移行される中、思った以上にチーム齟齬が発生し、オフラインよりも対話コストがかかる…そんな体験感じられた方もいるのではないでしょうか?リモートワークでは作業が個人レベルに分断されてしまいます。普段の日常業務ではそれとない相談で担保できていたことが出来なくなり、要求水準の乖離の発生や、自己タスクに必要与件が渡されず待機発生するケースも存在します。

個人が孤立せず自律的動くためには、チームにおける目標/業務のつながりを全員で意識できるOKRが肝となります。大上段となる目的から紐解き、どうすればその実現ができるか理解できる組織環境づくりが大切です。

OKRに関する記事は多く存在し、導入されてる企業も多いかと思いのですが、実際にそれがうまく駆動させるには苦労されているMGRも多いかと思います。今回は「実際にOKRをいれている実践者」の方向けに、よりOKRがうまく機能する為のコツを18個まとめてみました。

リモートワーク 組織の組織コンサルティングも含み、過去行ってきたコンサルティングケースを踏まえ、書いてみましたのでぜひ拝読頂けましたら嬉しいです!

(5800字の長文なので、まとまった時間でお読みくださいませ)

▼目次

活きた組織にする為に、改めてOKR理解するコツ
(コツ01):組織のWhyとHowは全てツリーで繋がる。
(コツ02):チームのビジネスモデル化がOKR。
(コツ03):キレイに血が流れている状態にする。
(コツ04):MBOは利益エンジン、OKRは事業/組織づくり。

OKR立てる際に、つまづき易いポイント
(コツ05):ステークホルダーの利害関係を理解する。
(コツ06):組織OKRにひねる蛇口をつくる。
(コツ07):チーム立ち上げ時は、まず仕組みづくりをする。
(コツ08):説明責任の経験を積みやすいよう、並走して心理負荷を下げる。

メンバー目線から見た、OKRを立てるコツ
(コツ09):Start with Whyは自分起点でうごく為の武器。
(コツ10):OKRはキャリアレバレッジがきく「協働スキル」。
(コツ11):必ずやりきることで学習サイクルが始まる。

MGRがメンバーとOKR組み立てる際のコツ
(コツ12):相手目線に立ち、丁寧に情報構造化して教える。
(コツ13):ボトムアップで考えさせる。ただ解像度が低いまま渡すのはNG。
(コツ14):事業に必要な知識を、正しく理解させる。
(コツ15):承認を得るのが目的になってしまったら、チューター支援を行う。

新人研修で考慮すべきポイント
(コツ16):OKRができるには「国語力」が必要。
(コツ17):帰納演繹を意識して、書く。
(コツ18):ただしく組織の文脈を、読む。

最後に


▼活きた組織にするため、改めてOKRを理解するコツ

コツ01:組織のWhyとHowは全てツリーで繋がる

Start with Whyは「なぜ?」から考え「なにをするか?」決めるフレームです。「なぜ目の前のタスクをやる必要あるのか?」理解することで、初めて人は自ら動くことができます。ゆえに自律した組織づくりには「なぜ」「なにをするか」の可視化が必要です。
OKRは「Start with Why」をベースに、組織の「なぜ?」からツリーで「チーム/個人の目標」に繋げていきます。それにより「自分は組織のWhyへ、どんな貢献をしてるのか?」を理解を深め、自走できるようになるのです。


コツ02:チームのビジネスモデル化がOKR

組織はあらゆる複雑な要素で構成されます。捉えどころのない物体に骨組みを入れ、構造化したのが「ビジネスモデル」です。OKRはこの「ビジネスモデル化」を、チーム単位まで行う活動です。
OKRを組み立てたさい「それはWhyでなく、Howだね」とフィードバックされた経験はあると思います。これは「ビジネスモデル化」されておらず、「やること」が並んだだけの表になっているということです。


コツ03:キレイに血が流れている状態にする

チームにとっての「Why」がわからなければ、個人が業務の意味がわからず、チームはうまくいきません。OKRが整理されると、組織のトップからボトムまで「モデル化」された状態になります。隣の人が「何をしてるのか?」「何を目的にしてるのか?」が理解でき、互いのつながりを理解しながら、チームにとって正しい動きが可能になります。


コツ04:MBOは利益エンジン、OKRは組織づくり

MBOはP/Lから分解した営業利益達成を基本とし、100%必達目標です。MBOの多くはトップダウンで決められることも特徴ではないでしょうか。対してOKRは70%程の達成で良しとされます。これは「今よりも事業スケールさせる」「組織をより改善する」という「組織資産づくりの視点」が大きいからです。またOKRは、ボトムアップのチームづくりが思想にあることも大きな違いといえます。


▼OKR立てる際に、つまづき易いポイント

コツ05:協同関係者の利害関係を理解する

「チームメンバー」「上位者」「他チーム」との利害調整を蔑ろにし、後から厳しいフィードバックを受けたことは多くの方が経験されたのではないでしょうか?OKRはチームの「ビジネスモデル化」です。企業が「顧客」「協力会社」「従業員」と協力関係を築く必要があるように、チームも「協働関係者」と接合する必要があります。自分の目標だけでなく、必ず「協働者」と「互恵関係」になるよう調整しましょう。


コツ06:組織OKRにひねる蛇口をつくる。

一見整合したOKRでも、いざ稼働すると「施策の優先順位」がついておらず、複数の施策を同時に行う必要がでて「何から手をつけて良いか」わからなくなることがあります。OKRツリーをつくるコツなのですが、どの蛇口を回せば数値が上がりやすくなるかを考えつつ、優先順位が反映された設計にする必要があります。


コツ07:チーム立ち上げ時は、まず仕組みづくりをする。

チームが初めてOKRを導入する際に、OKRのKR設計において「具体的な定量指標」が設計しづらく悩まれるケースをよく耳にします。こちらへの解は、立ち上げ時はまず「仕組みづくりの、進捗割合」にKRにするのがお勧めです。できた後は取得できた数値を参考にして、次回から定量設計がしやすくなります。立ち上げ時には「How」ドリブンに感じられたとしても、まずつくりあげることが大切です。


コツ08:説明責任の経験を積みやすいよう、並走して心理負荷を下げる。

OKR立ち上げの大きなハードルが「説明責任」です。自分の目標(責任)を決め、人とすり合わせることは、経験がないうちは回避的になりがちです。頭でわかるのに、心の重荷で人と調整できなくなる事は経験あるのでないでしょうか。

これには「自分の責任」で説明する機会を増やすことと、育成担当が「並走し一緒に責任を持つ」ことで心理安負荷をを下げ、場に臨ませやすくすることが大切です。少しづつ成功体験をつむことが「人との調整」を恐れないようになる鍵です。


▼メンバー目線から見た、OKRを立てるコツ

コツ09:Start with Whyは自分起点でうごく為の武器

OKRは「チーム接合が大切」と言われますが、同時にOKRは「自分起点で組み立てろ」と言われます。一見相反する様に見えますが、「Whyと接合されてるなら、Howは自分起点で好きに考えなさい」ということです。Whyに繋ぐセンスが高い人は、自分のやりたいHowと自由につなげ、好きなことを組織内で行うことができます。そうしたボトムアップで組織を動す人を増やすことが、Start with Whyの目的です。


コツ10:OKRはキャリアレバレッジがきく「協働スキル」

OKR等の目標設計スキルは「チームで協働する」のに必要なため、事業会社では基本教養です。技術が高くても「他者と協力」できなければ成果はだせないため、技術専門キャリアを目指す場合でも必須です。近年「広く深い専門性」を発揮する「ディープジェネラリスト」が現れていますが、こうした人材は「チーム協働スキル」が高いため、あらゆるシーンで活躍できる特徴があります。「協働スキル」は長いキャリアで一生物なので、ぜひ勉強をお勧めします。

※一部の天才で、協働スキルがなくても活躍されてるケースはあります。


コツ11:必ずやりきることで学習サイクルが始まる

経験ないうちは、やってみないとOKR設計がうまくいったか分かりません。どんなOKRでも、1度設計したら「やりきること」が大切です。後から設計の拙さを感じても、やりきることで初めて「学習サイクル」が回り始め、改善に繋がります。学習できない人の特徴は、目標に対して「あとから理由をつけて、やりきらず放棄すること」にあります。迷いが生じても我慢し、必ず期間中にやりきり学習サイクルを回すことが大切です。


▼MGRがメンバーとOKRを組み立てる際のコツ

コツ12:相手目線に立ち、丁寧に情報構造化して教える。

MGRとメンバーの、目標設定期間に起こるエラーの大半が「理解範囲の差」です。指導を受ける側が「なにをすればいいですか?」と指示待ちになるケースがありますが、これは意欲が低いわけでなく、理解が追いつかず提案できないだけです。こうした際は相手目線に合わせて「OKRにおける情報のつながり」を説明する必要があります。また同時にメンバーも「なにが分からないのか?」を言語化し、指導側に伝えることでお互いにすり合わせることが出来ます。


コツ13:ボトムアップで考えさせる。ただ解像度低いまま渡すのはNG

OKRの基本はボトムアップでHowを考えるというものです。しかし「ボトムアップ」は「ボトムアップで考えたことへの承認」により初めて実現します。MGRが「落とし所がわからないまま」メンバーに任せてしまうと、承認もアドバイスもできず目標がいつまでも決まらないエラーが発生します。大原則で必ずMGRが「承認範囲の解像度≒Whyに対する解像度」を高めた上で渡す様にしましょう。


コツ14:事業に必要な知識を、正しく理解させる

事業構造(市場・顧客・会計・管理…)により、Whyも大きく異なります。逆説的にいえば、事業に関する知識を知るだけで理解が大きく促進されます。また技術構造(営業・人事・BO・開発…)の知識も知っているだけで、適切なHowの落とし込みを悩まずできるようになります。全ての知識を学ぶ必要はありませんが、自社の事業特性を理解し、自分が関わる業務の学びを進めるだけで、設計負荷は大きく下げることが可能です。


コツ15:承認を得るのが目的になってしまったら、チューター支援を行う。

コトに向かい壁打ちして進める感覚はトレーニングが必要で、まだ慣れてないメンバーの場合「フィードバックされる=自分が認められていない」という認識になることがあります。その状態になると「合理性」より「承認をいかにえるか?」が目的になり泥沼になりがちです。この場合は役割を2つに分け、「チューター」が相談を受けながら支援し、「承認者」が承認する形にすると驚くほど上手くいくことがあります。これは[コツ09]で述べた「説明責任負荷削減」のアプローチにも繋がっています。


▼新人研修で考慮すべきポイント

コツ16:OKRができるには「国語力」が必要。

私の経験則ですが、協働スキルが高い方は「国語力」があります。勉強の基礎は「国語力」とされますが、これは「正しい意味を読み解く力」「正しい意図を書いて伝える力」が全ての基本にあるからです。組織でも同様でこの2つがないと、他者と協力関係を築けません。特にリモートワーク においてこの傾向は顕著にでるのではないでしょうか。OKRは組織を文章構造として可視化したものであり、読み解くにも、書くにも「国語力」が必要になります。


コツ17:帰納演繹を意識して、文章を書く。

OKRの基本は「ロジカルライティング」です。帰納法・演繹法を活用しながらライティングを行うことで、わかりやすいツリー表にすることができます。日本語構造を明確にしながら「Why」と「How」を第三者に正確に伝える文章を書くことが大切です。OKRには多くの育成者が悩みますが、正しい日本語作文を身につける研修を行うことが一番の近道です。OKRを教材としながら日本語添削を行うことで徐々に目標設計はできる様になります。


コツ18:ただしく組織の文脈を、読む。

全ての組織情報が、対称性ある状態で手に入ることはありません。組織に散らばる情報をつなぎ合わせ、文脈を読み解くスキルがあることが協働する上では大切です。また「情報を眺める」だけでなく「情報を頭の中で構造化」して初めて文脈を読んだといえます。OKRは組織文脈が構造化された表です。さながら証明問題を解くように仮説を組み立てるとうまくいきます。


最後に

OKRなどの協働スキルが自由に使いこなれば、長いキャリアにおける強い基盤を身につけたと言えるのではないでしょうか。またリモートワーク環境下では物理環境が離れているからこそ、互いに「Start with Why」を意識できることが重要です。

私のコンサルティングケースにおいても「OKR策定」がスコープに入っていることが多く、OKRが組織全体で駆動したことによりパフォーマンスが何倍にもなった成功体験があります。地味ではありますが、確実に効くシステムです。ぜひ今回のコツを参考にしながら、リモートワーク に移行したタイミングだからこそ、この機会に「組織の血をより滑らかに動す」ためにOKRの改善に取り組んでいただけたら嬉しいです!

以上OKRツリーを見るとワクワクしてしまう、ミナベからでした!


ミミクリ &ドングリはデザインの力で創造性の土壌を耕し、組織の課題解決を実践するデザインファームです。40名の研究者、ファシリテーター、コンサルタント、デザイナーが在籍しながら、具体的な技術から思想や哲学まで含めた広い意味での方法論 (methodology) を学術的に研究しています。

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